35歳女性、統合失調感情障害
未分類 | 2018年9月8日
メディカルストレスケア飯塚クリニック(心療内科、精神科、鳥取県)
19歳のとき微熱、腹痛、パニック発作などを頻発し、抑うつ気分、情動不安定が続くことから精神科受診。SSRI(抗うつ薬)や抗不安薬、睡眠導入剤などで治療されるも不安定な状態がつづいていた。
22歳時に当院を初診した際にも不安や抑うつ気分、情動不安定などが依然目立ち、SDSにて58点のうつ状態であった。被害関係念慮を認め、他者の言動に非常に過敏に反応し、追い詰められる状態が続いていた。HTPやロールシャッハテストなどの心理テストにて、思考や認知のゆがみも顕著であり、統合失調圏であることが示唆された。その後、抗精神病薬に主剤を変更することで速やかに諸症状は改善し、他県の専門学校に入学した。それに伴い転医。学校を卒業し、仕事を継続していた。29歳結婚、第1子出産。その後、夫婦ともに地元に戻るも、出産後授乳をしたいとの思いから受診はせず、服薬を中断していた。
31歳時の授乳を終えたことから当院を再受診。「吐き気がする。笑顔を作れない」などと訴え、不眠、情動不安定、抑うつ気分などが目立ち、SDSにて58点の重症度の高いうつ状態であった。また妄想着想も明瞭で、周囲の言動を被害的に受け取り、追い詰められている状態であった。その後の抗精神病薬の再開により速やかに改善。家事、育児の他、一時休んでいた仕事も再開し何とか継続していた。
第2子を希望し、オーソモレキュラー療法を用いてヘム鉄、ビタミンB群などを中心に投与し、オランザピン単独1.25mgまで減薬する。しかし完全に抗精神病薬を中断してしまうと、被害妄想が顕著となり「周囲がみな自分に悪意をもって、攻撃してくる」といった発言が頻発するようになることから完全な中断はできない状態であった。33歳時、妊娠を希望し服薬を自己中断しては症状再燃を繰り返していた。そのような中で妊娠が判明。被害妄想、希死念慮などが非常に目立つ状態となるも服薬拒否。 高濃度ビタミンC点滴(IVC)や栄養療法にて何とかやや落ち着いたところでオランザピン2.5mgを再開し、寛解状態となる。
34歳で第2子出産。しかし授乳を希望し、再び通院と服薬が途絶え、被害妄想、精神運動興奮などが顕著な状態で夫に伴われ当院を受診。IVCをすると当日は落ち着き、十分量のビタミンB群、ナイアシン、ヘム鉄などを再開。しかし1週間後の受診時にはまだ表情が硬く、被害関係念慮を認めた。
本人は授乳継続を希望し服薬拒否するため、10%ブロードスペクトラムCBDオイルを就寝前1ml、不安感が高まったときに0.5-1mlを摂取するように指示したところ、速やかに睡眠が安定し、嘔気なども消失。投与3日目頃にはほぼ寛解状態となった。以後、朝0.5ml・就寝前1mlを使用し、安定していた。
その後1週間ほどCBDオイルを自己中断した際、再び被害的な認知と情動不安定が出現したが、CBDオイル再開により消失している。